⚪︎はじめに
「今の腰痛の状態では、温めるのと冷やすのはどちらがいいの?」
実は、患者さんからこの質問を受けることは結構多いです。
一般的に痛みがある時は冷やすのが正解と思っている方も多いのですが、実はその時々に合わせて使い分けることが大切になります。
今回のブログでは腰痛の状態により、どのように対処するのが良いかについて書かせて頂きました。
全てのケースに適応するわけでは無いですが、ぜひご参考になりましたら幸いです。
⚪︎冷やしたほうが良い腰痛
一般的には、ぎっくり腰などの急性期の腰痛はアイシングをすることにより痛みを抑えることができると言われています。
私も学生時代には、怪我をした時に重要なのは迅速なRICE処置だと教わりました。
RICE処置とは
Rest(安静)・Icing(冷却)・ Compression(圧迫)・Elevation(挙上)
の4つの処置です。
腰を傷めた時に圧迫や挙上をすることは難しいので、傷めた直後の急性期だけは安静と冷却をして頂いても問題ないです。
しかし、近年研究が進み、アイシングの効果が疑問視されはじめました。
これはマウスを用いた実験で、アイシングの効果を確認した物です。
その研究では、筋損傷が20%以上の重症な物であれば、アイシングをすることにより筋肉の再生の流れを阻害してしまうという結果が出ました。
しかし、筋損傷が4%程度の軽微な物に対しては、骨格筋の修復が促進されるという結果もあります。
これからも研究は進んでいくと思いますが、通常のぎっくり腰などであればアイシング処置を行い、鎮痛を図っても問題はないと思われます。
⚪︎温めた方が良いのはどのような時?
それでは、温めた方が良い腰痛というのはどのような物でしょうか?
これは、急性期で炎症の強い腰痛を除き、基本的には全ての腰痛に有効だと考えています。
慢性的な腰痛は、体の歪みによる筋肉の柔軟性の低下や、それに伴って血液の巡りが悪くなることによって引き起こされていることが多いです。
そのため、温めてあげることはそれらの改善につながり、腰痛の緩和にも効果が見込めます。
⚪︎どのように冷やせば良い?
・氷嚢
アイシングを行うときは、氷嚢が効果的です。
冷やすことを考えると冷湿布を思い浮かべる方がおりますが、実は冷湿布には患部を冷やす効果はありません。
湿布に含まれたメンソールなどの作用により、冷えたように感じるだけなのです。
そのため、氷嚢を用いることが一番です。
しかし、注意点もあります。
氷嚢をそのまま患部に当てると、低温やけどを引き起こしてしまいます。
そのため、必ずタオルなどを噛ませて患部に当ててください。
アイシングを行う時間は、15分程度を目安にするようにしましょう。
⚪︎温めるのはどのように行えば良い?
・入浴
身体を温める上で、最も有効なのは入浴です。
患部だけではなく身体全体を温める効果があり、全身の血液循環の改善が期待できます。
また、副交感神経が優位になることによるリラックス作用もあるため、筋肉の緊張がほぐれて腰痛の緩和が期待できます。
注意点としては熱すぎるお湯に浸かると体が興奮してしまうため、38〜40℃程度のぬるま湯にすることが重要です。
・ホッカイロ
仕事中や外出先などでは、ホッカイロを活用するのも効果的です。
今は衣服に貼ることができるタイプのホッカイロも多いです。
腰痛にお悩みの方は腰にそのまま貼ってあげても良いのですが、お腹に張ることで下半身へ温められた血液が流れ、結果的に全身の血流改善に繋がるため、おすすめです。
・湯たんぽ
昔から残っているものは、効果的なものです。
湯たんぽは就寝中に足を温めるために使います。
腰を温めなくて良いかと思いがちなのですが、下半身を温めることにより温かい血液が全身を巡るため、腰痛の緩和にも役立ちます。
特に腰痛と下半身は筋肉のつながり的にも密接に関係するため、ぜひご活用ください。
⚪︎まとめ
今回のブログでは、多くの患者さんに聞かれる温める?冷やす?について書かせていただきました。
ぶつけたり捻ったりして、急激に腫れた場合や熱を持った場合は初期処置としてアイシングが効果的です。
しかし、今回のブログの通り、原則温める方が腰痛の緩和に繋がるケースの方が多いです。
体を温めることで腰痛の緩和だけでなく免疫力の向上なども期待できます。
しかし、身体を温めてもなかなか腰痛が改善しない場合は他の原因が潜んでいる可能性も考えられます。
そのような時は我慢せず、専門の医療機関を受診することも重要です。
今回のブログが腰痛でお悩みの方のお力に少しでもなれましたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
柔道整復師・鍼灸師 苗村拓哉